食事拒否は認知症を患っている人に多く見られる行動です。空腹を感じているにもかかわらず、目の前の食べ物を口にしないような状態を指しますが、そうなった理由は様々です。しかし、強引に食べさせようとすると食事そのものを嫌悪するようになるので、食事拒否の理由に合わせて、適切な対処をする必要があります。
食事拒否の理由の多くは認識力の低下によるものなので、目の前に並んでいる物が食べ物であると示しましょう。また、特定の食べ物や飲み物に限って食べ方や飲み方がわからなくなるケースもあるようなので、一緒に食事をとるようにして、食べ方のお手本を示すことも効果的な方法といえます。ただしその際には、「食べ方を教える」というスタンスではなく、対等の立場で接することがポイントです。
それから、認知症の患者は自身の体調不良を他者に訴えるのが苦手だといわれています。ですから、中には虫歯や口内炎などの疾患が理由で食べたくても食べることができない場合もあるでしょう。ですから、歯が痛かったり、食事のときに物がしみたりしないかを確認してあげてください。そして、口腔内に異常があるような場合は、口腔ケアを行いましょう。
認知症を患う人の多くは高齢者ですが、加齢による新陳代謝の低下で唾液の分泌量が低下し、口内疾患のリスクは増大します。歯磨きを正しく行うことも非常に難しくなるので、口腔ケアはとても重要です。口腔内の健康が保たれないと、栄養不足に陥るだけでなく、他の病気を発症したり、認知症の進行に拍車がかかるという話も耳にしますので、介護士は健康管理の一環として、口腔ケアにも力を入れる必要があります。