安全かつスムーズに食事介助を行うためのコツ

要介護者に食事介助を行う場合、認知症を患っていると、飲み込む前に食べ物を口に運んでしまい、気管に食べ物が入って誤嚥を起こす危険性があります。ですから、介護士がマンツーマンで患者を見守ることが欠かせません。また、誤嚥がなく食べ物を飲み込めていても、食道の途中で食べ物がつかえていることに気づかないと、喉を詰まらせてしまうこともあるので、咀嚼や嚥下の過程にも注視する必要があります。そのため、食事介助はとても気を使う仕事だといえるでしょう。

しかも、認知症の要介護者の場合は、スムーズに食事をしてくれないことも多々あります。ときには、食事の時間になってもテーブルについてくれないことさえあるようです。しかし、このような場合にスタッフが無理強いしてしまうと、要介護者は気分を害してしまい、余計に食事を取りたがらなくなるため、介護士は状況に応じた対応をとらなければなりません。

たとえば、朝と夜とが逆転しているような方には、まず時間を認識させることが大切です。テレビの朝ドラを見せて、朝食の時間だということを知らせたり、外が暗くなったから夕飯の時間だということを理解させることからはじめましょう。

また、認知症の方の中には、食事のときにテーブルの上に食器以外の物が置いてあると、食事が始まることが理解できなくなる方もいます。ですから、介護士は食事に無関係な物は片付けるように促して、テーブルの上には食器だけを置き、食事に集中できる環境を作るようにしてみてください。さらに、一度に複数の食器を置くと、何から手をつけていいのかわからなくなるようなら、テーブルに一皿ずつ出してみましょう。こうするだけでも、箸が進むことがあるので、認知症の方の食事介助は、ケースに応じて工夫を凝らすことが重要です。